小さなものづくりコンピューター「SPACEBLOCK(スペースブロック)」には、コンピューターが動くのに必要なプログラムがまだありません。みなさんがプログラマーになってSPACEBLOCKのプログラムを作るのです! 作り始める前に、プログラムってどんなものなのかを見ていきましょう。SPACEBLOCKのプログラムを作る画面も紹介します!
プログラムの役割
コンピューターは「指示された命令を正確にこなす」ことができます。その「命令」がプログラムです。プログラムは、人に言葉で指示をするのとは違い、コンピューターにわかる言葉で手順書を書くようにして作ります。
ところで、第1回で紹介したとおり、コンピューターはCPU、メモリ、入力装置、出力装置という部品が集まってできています。SPACEBLOCKの場合も小さなボードの上にこうした部品が接続され、1台のコンピューターとして動くようになっていますが、この目に見えて触れるもののことをまとめて「ハードウェア」と呼んでいます。それに対し、プログラムのことは「ソフトウェア」と呼ばれていて、こちらは触ることができません。
パソコンやスマートフォンには、文書作成や表計算、マップ、メッセンジャーなどたくさんのアプリがあります。これらのアプリはどれもソフトウェアで、ソフトウェアを切り替えれば同じハードウェアなのに違うことができるようになっています。パソコンやスマートフォンの場合、ソフトウェアはハードウェアの中にある、「補助記憶装置」と呼ばれる電源を切っても中身が消えないメモリの一種に保存されています。
パソコンと家電のコンピューターの違い
パソコンやスマートフォンの場合、アプリとは別に「OS(オーエス/オペレーションシステム)」と呼ばれるソフトウェアが動いています。OSは、ハードウェアが違っても同じ見た目やルールで操作できるように基本的な機能を提供したり、アプリとハードウェアをつないだりする役割をしています。例えば、「Windows(ウィンドウズ)」や「macOS(マックオーエス)」というのはパソコンのOSです。
洗濯機や冷蔵庫などの家電に入っている小さなコンピューターの場合、OSが動いているわけではなく、あらかじめその家電に必要なプログラムが作られてそのソフトウェアだけが動いています。
SPACEBLOCKは家電で動いている小さなコンピューターと似ていて、必要なプログラム1種類だけを動かせるようになっています。みなさんが自由にプログラムを作るたびにソフトウェアが丸ごと書き換えられて、新しい動きをするようになるのですね。
SPACEBLOCKのプログラムはどうやって作るの?
さて、SPACEBLOCKのプログラムを作ってみましょう! プログラムを作ることを「プログラミング」といいますが、SPACEBLOCKのプログラミングにはパソコンを使います。プログラムはパソコンで作ってSPACEBLOCKに転送します。そのために、パソコンとSPACEBLOCKをUSBケーブルでつなぎます。
プログラムを作りながら動きを確かめたいときは、パソコンでプログラムを実行します。そうすれば、ケーブルでつながったSPACEBLOCKをパソコンから直接動かして試すことができます。
プログラムが完成したら、SPACEBLOCKに転送することができます。プログラムを転送すると、SPACEBLOCKをパソコンから切り離して単独で動かすことができるようになります。
なお、SPACEBLOCKを単独で動かすには電源が必要です。パソコンにUSBケーブルでつないでいるときはパソコンから電力が供給されますが、SPACEBLOCKを単独で動かすときは、電池ボックスをつなぎます。
プログラミングは簡単な操作でできる!
プログラミングと聞くと、プログラマーがキーボードで文字を大量に打ち込んでいる姿をイメージするかもしれませんが、SPACEBLOCKは、初めての人でも簡単な操作でプログラミングができるようになっています。
プログラムを作るのに必要なさまざまな命令がブロックになっていて、これらの命令ブロックをドラッグ&ドロップするだけでプログラムを作っていくことができるのです。
大人が仕事の世界で使うプログラミング言語は “文字をいっぱい書く”イメージの通り、キーボードで英数字や記号を入力して記述します。用途によっていろいろなプログラミング言語があり、記述のルールは少しずつ違いますが、プログラムを作るときの基礎になる考え方は同じです。
SPACEBLOCKのプログラミング画面は簡単に操作できますが、文字で記述するプログラミング言語と同じような考え方でプログラムを作るように設計されていて、基礎的な考え方が身につきます。
さぁ、プログラミングがどんなものなのかわかったところで、次の記事ではSPACEBLOCKのプログラミング手順をチェックしてみましょう!
狩野 さやか
Studio947のデザイナー・ライター。デザイン・ウェブ制作全般を担当する一方、技術書籍の執筆や、教育のICT活用・子ども向けプログラミングについての取材・執筆をしている。著書に『ひらめき!プログラミングワールド』『見た目にこだわるJimdo入門』『ふたりは同時に親になる 産後の「ずれ」の処方箋』。
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