モノのカラクリを考えて組み立てる遊びができる「プログラミング発想系おもちゃ」は、論理的思考を働かせて遊ぶ楽しいゲーム。プログラミングで使う論理的思考とも一部重なり、発想を柔軟に予測したり確かめたりする頭のウォーミングアップにもなりそうです。親子で遊んでみた実感をレポートします。
スタートからゴールまでボールを転がす重力迷路
今回、8歳の息子とともに試してみたのは、ThinkFun(シンクファン)社の「グラビティ・メイズ(Gravity Maze)」。直訳で「重力迷路」という名の通り、決められたスタートからゴールまで、重力に任せてボールを運ぶ立体パズルゲームです。
[Gravity Maze(グラビティ・メイズ)]
対象年齢:8歳~ プレイ人数:1人~
息子はEテレ「ピタゴラスイッチ」のピタゴラ装置が好きで、家にはスイス生まれの積み木・玉の道スカリーノもあり、オリジナル装置作りに夢中だったこともありました。また、パープレクサスなどの立体迷路ゲームも大好き。グラビティ・メイズはプログラミング的な要素も感じられるゲームなので、プログラミング教室に通っている息子なら、きっと気に入るはず!
箱を開けると、4×4のマス目のゲーム盤、カラフルなタワー、ボール、そして60枚の問題カードが入っています。タワーは全6色で、色によって高さが異なります。一番高い青の5段タワーがひとつ、緑の4段タワー、オレンジの3段タワー、紫の2段タワー、グレーの1段タワーがそれぞれ2個ずつ。赤はゴール用のタワーです。
問題は初級、中級、上級、エキスパートまで、4段階の難易度で全60問。スタートとゴールの位置、迷路に使用するタワーは、問題カードで指定されています。問題によっては、途中で経由するタワーが決められていることもあります。
タワーは立てて使う場合もあれば、重ねたり、横に倒して使うこともあります。それぞれのタワーの形状は様々で、タワーのどちら側を上にするか、タワーのどの面をどこにつなぐかで、ルートが変わってきます。どう連結すればボールがゴールまでたどり着くか、タワーの種類や上下・向きを何度も変えながら考えていきます。
失敗を重ねながら道筋を考える
まずは問題1。初級の1問目とあって、使うタワーの個数も少ないシンプルなコースです。息子は1分ほどで難なくクリアし、笑顔で「これ楽しいね!」。その後も自力でどんどんクリアしていきましたが、中級になると、折り返して同じタワーの違う段をもう一度通るようなコースもあって、難易度が上がってきます。どうにもうまくいかないときは、カード裏面の解答例を私がチラ見してヒントを出しながら進めていきました。
与えられた課題に対して、トライアル&エラーを繰り返しながらゴールまでの道筋を考えます。何度も失敗を重ねて、やっとボールがゴールにたどり着いたときの達成感ときたら! 問題も50番台になると相当難しく、大人が一緒に考えても頭を悩ませてしまうレベルなのですが、その分クリアしたときの喜びは大きく、親子で頭を使いながらたっぷり楽しむことができました。
[試行錯誤の様子。声に注目!]
60問全部クリアしたあとは、自分でオリジナルの問題を考えてみることもできます。自ら問題を作るためには、より高い理解力とクリエイティビティが求められますが、それもまたこのパズルゲームの醍醐味。オリジナルのユニークな重力迷路を求めて、際限なく創作を続けられます。
[初めて作ったオリジナル問題。ゲームルールに合わないところもありましたが自由に!]
「プログラミングっぽい」頭の使い方で遊ぶ
ちなみに息子は、今年1月からロボットプログラミング教室に通っています。教室では、教育版レゴ マインドストーム EV3を使ってロボットを組み立て、ミッションをクリアすべくプログラミングし、ロボットを動かしているのですが、グラビティ・メイズでやったことは、プログラミング教室でやっていることと重なる部分も多かったようです。ひとしきり遊んだ息子に感想を聞いてみたところ、こんな風に答えてくれました。
「問題のカードを見ていろんなコースを組み立てるのが面白かったし、いろんなコースを組み立てていると、こんな発想があったか!って発見もあって、それを取り入れて自分のコースを作ってみるのも面白かった」
「パソコンとかロボットとかを使わなくても、プログラミングっぽいことができて、いっぱい頭を使った」
改めて、グラビティ・メイズで遊ぶ中でやったことをまとめてみました。
- スタートからゴールまでボールを運ぶために、どのような手順が必要かを考え、頭の中でシミュレーションしてみる。
- それぞれ回路の異なるタワーの形状を理解し、最適な組み合わせを探す。
- いくつもの問題を解く中で「ゴール前はグレーのタワーを使うことが多い」といったパターンを見つける。
- 試行錯誤の中で、どこをどう改善すればゴールにたどり着けるかを検討する。
空間認識能力や論理的思考、問題解決能力、さらには集中力や忍耐力の向上にも効果がありそうです。
ピタゴラ装置と違って、ボールは一瞬でゴールまでたどり着いてしまうので、動画はスローモーションで撮影するのがおすすめ。とくに上級やエキスパートの問題は、同じタワーを折り返してぐねぐねと進むコースが多いので、スローで撮るとボールのたどった経路がよくわかってより楽しめます。
[通常スピード撮影とスローモーション撮影したところ]
加治佐 志津
新聞記事やWEBメディアの編集・執筆を経て、2009年よりフリーランスライターに。絵本と子育てをテーマに取材・執筆を続ける。これまでに取材した絵本作家は100人超。漫画家の夫と2013年生まれの子鉄の3人暮らし。
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