プログラミング授業の現場(1)〜出前授業ボランティアの実感

青砥 愛子

2020年度から小学校で始まるプログラミング教育、実際に授業をやってみるとどんなことが起きるでしょうか? さくらインターネット株式会社は、石狩市教育委員会に協力して石狩市の全小学校で「プログラミング教育出前授業」に取り組んでいます。先生が児童にプログラミング教育の授業を行えるよう先生の代わりに授業を想定して行うというものです。そこに時々ボランティアとして参加している筆者がサポートしながら感じたことをまとめてみました。

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授業前の準備だけでもひと苦労!

まずは授業の準備から。授業が始まる前に、その日に使うパソコンの準備をします。

例えば、micro:bitを使う授業の場合、全てのパソコンのウェブブラウザにmicro:bitのプログラミング用画面を表示させておきます。キーボード操作に不慣れな子ども達が自分でURLを入力すると、プログラム画面を全員が開くだけで最初に時間がかかってしまうからです。

先日参加した学校では学校専用の管理ソフトが入っていたので、まずメインのパソコンから管理ソフトを使って操作し、40台のパソコンへ一斉にプログラミング画面のURLを送ります。

次に、全てのパソコンの電源を入れ、先ほど送ったページがウェブブラウザに表示されたら、プログラミング画面がきちんと日本語になっているかなど確認していきます。通信環境によってはmicro:bitのページへたどり着く前に中途半端な画面で止まってしまい英語のブロックが表示されたりすることもありますから、スムーズに授業に入るためにここまではしっかりと準備しておかなければなりません。この何気ない作業、教室をぐるっと回るとひと苦労です

ウェブブラウザからプログラミングできるツールは、手軽なのですがウェブブラウザの種類に注意が必要な場合があります。例えばmicro:bitの場合、Internet Explorerだと、音を出すプログラミングをした時にシミュレーター上で音を再生できません。

ところがこの日は半数以上のパソコンにInternet Explorerしか入っていないことが判明。あわててGoogle Chromeをインストールするか検討しましたが、時間が迫っているのと、管理ソフトで新たにインストールできない設定になっているため断念し、音を出すプログラミングの内容は外して授業を行うことになりました。

こんなふうに40台分のパソコンを授業でスムーズに使えるように準備するのは、先生一人ではとても大変なことなのです。授業の間の休み時間10分少々の中でこれを担任一人でやるとしたらかなり難しい状況ですし、サポートが必要になってくる場合もあるでしょう。

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子どもたちにプログラマーになりきってもらいます!

いよいよ授業本番です。

先日参加した6年生のmicro:bitを使う授業では、本体にボタン電池・スピーカーが装着済みのものとusbケーブルのセットを、二人一組のグループに配りました。このセットを事前に用意するのも、そう難しくないとはいえ接続が必要ですからそれを先生が全部ひとりでやるのかどうか、また接続方法を調べるのか、マニュアルのようなものが必要かもしれません。

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最初にパソコンのウェブブラウザ上でmicro:bitの基本操作を教え、LED画面に好きなアイコンを点滅させるプログラムを組んでみます。プログラムは指示ブロックをドラッグ&ドロップで配置して組み合わせて作ります。

もともと「アイコンを表示」ブロックに40種類のアイコンが用意されているのですが、自分で形をイメージしてオリジナルのアイコンを作ってみる子や、授業で説明していない「ループ」「論理」ブロックをどんどん利用していく子など、工夫はさまざまです。お隣の子と教えあったり相談しながら授業は進んでいきました。クラスによって雰囲気は違いますが共通して子どもたちはプログラミングの授業に積極的です

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次に6年生で習う電気やエネルギーについてのワークシートで、「電気を無駄なく使うためにはどうしたらよいか」工夫された電化製品の身近な例を考えます。子ども達の意見は「電子レンジの温め機能」や「エアコンの室内温度調節」などバラエティに富んでおり、中には「風呂の残り湯を利用してトイレの水を節約する」など電気ではないけれど水を無駄なく使う発明をしちゃう子も!

そんな様々な答えの中から「街路灯」を選び、「センサーを使って暗くなったら電気をつける」ためのプログラムを考えながら組んでいきます。

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ウェブブラウザ上のシミュレーターで思い通りの動きができたら、実機へ転送していよいよ動作確認です。

子どもたちは机の下の暗い所でLEDが光るのを確かめたり、明るい窓の方へ持っていってみたりして、自分が命令したとおりにコンピューターは動くのだということを実感していました。

感想を聞くと「プログラミングはすごく難しいイメージだったけど、やってみると簡単だった。おもしろかった。家に帰って続きをやりたい」と答えてくれました。

プログラミングが成功したことに満足の表情を浮かべる子どもを見ていて、プログラミングって達成感を得やすいのかもと思いました。

先生が子どもと同じ方向を見て一緒にプログラミングする姿も

出前授業をしていると、担任の先生だけでなくほかの先生方も見学に来るのですが、さすが先生だと感心したところは、その場でちょっと聞いただけで理解し手際よく子どもをサポートできるところです。プログラミングの知識があっても子どもへの的確な言葉掛けなど私には難しいところですが、そこはもう先生に共通していて、授業をちらっと見に来た年配の教頭先生がすぐに子どもにわかりやすくアドバイスする様は、さすがプロだと思いました!

青砥 愛子
ウェブクリエイター。Studio947でウェブ制作や技術書籍のアシスタント、「プログラミングツール図鑑」で執筆をしている。 Coder Dojo Sapporoメンター。プログラミングを通じて大好きな子どもと関わっている。

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