Swift Coding Club JPによる中高生対象の「App Design Contest 2024」が開催され、2024年8月24日(土)には、入賞者がApple Store 丸の内で華々しくプレゼンテーションを行いました。
伴走型のアプリアイデア&開発コンテスト
イベントを主催するSwift Coding Club JPは、Apple Distinguished Educator(ADE)というAppleの認定教育者が運営するコミュニティで、中高生が課題解決のためのアプリ開発のための発想やスキルを身につけるために学び合うことを目的としています。そのため、参加にプログラミングの経験は不要で、全ての中高生にチャンスが広がっています。オンラインでのワークショップを通して、身近な課題に目を向けその解決に役立つアプリのアイデアを考えるところからスタートし、コンテストではアプリのアイデアに対する評価で行われました。
なお、「Swift」というのは、iPhoneやiPad用アプリの開発のためのプログラミング言語で、子どもが楽しく学べる「Swift Playgroudns」というツールも出ています。
参加メンバーはコンテストへの入賞にかかわらず、希望すれば、Swiftのエンジニアのサポートを受けながら実際の開発にチャレンジすることができます。開発の道のりは簡単ではないと思いますが、アプリを完成させて「Swift Student Challenge」という Appleの学生向けアプリコンテストに応募することを目指します。
他にも子どもを対象としたアプリコンテストはいろいろとありますが、たいていはプログラミング言語や開発手法は限定せず、完成させたアプリが評価の対象となります。それらに比べてこのSwift Coding Club JPの取り組みは、中高生に丁寧に伴走するコミュニティと言えるでしょう。
入賞者による堂々としたプレゼンテーション
コンテストでは、グランプリ3名と、ベストアイデア賞2名が選出され、このメンバーがApple Storeでのプレゼンテーションに臨みました。プレゼンテーションイベントは、ADEとしてSwift Coding Club JPを運営する関西学院千里国際中等部・高等部の西出新也先生と、新渡戸文化中学校・高等学校の勝田浩次先生が進行します。また、Swiftの国際カンファレンスtry! Swift TokyoのメインオーガナイザーでiOSデベロッパーの松館大輝氏が、プロの視点で入賞者にそれぞれコメントしていきました。
グランプリは、学校生活のシチュエーションに合わせて手話を学べる「SHU PEAK」(名古屋経済大学市邨高等学校 Umiさん)、折り紙の折り方を解説する「Orilook」(三田国際学園中学校 Ayumuさん)、骨格タイプを診断してファッションアドバイスをする「Best Fashion Adviser」(関西学院千里国際高等部 Maoさん)。大きなスクリーンの前で堂々と企画したアプリの説明をしました。
また、ベストアイデア賞は、野生動物などが事故にあう問題を知るための「ロードキル」(新渡戸文化高等学校 Cocoroさん)、勉強などのタスクを実行するよう励ます「激怒系作業促進アプリ」(京都市立西京高等学校 Sayaさん)。観客を2つのグループにわけてそれぞれプレゼンテーションし、実際にプロトタイプを観客に触ってもらってフィードバックをもらいました。
プロトタイプはアップルらしくKeynoteで作成。ページ間を移動するリンクを利用してアプリの画面展開を再現し、観客に概要をわかりやすく体験してもらうことができました。こうして目の前で直接感想や意見を聞けるというのは非常に大切な経験です。
また、スペシャルゲストとして、「Swift Student Challenge」で世界の50名の優秀受賞者に選ばれアメリカのApple本社に招かれた経験のあるKeitaroさんが、自身の開発したアプリを紹介しました。自分の好きな写真からパズルを生成できるアプリ「PuzzlePix」で、開発過程などのエピソードに入賞者のみなさんは熱心に耳を傾けていました。
アイデアを実現するモチベーションでプログラミングに挑戦!
プログラミング未経験からアプリを開発するというのはハードルは少し高いかもしれませんが、課題解決のためのアイデアが入口になっていますから、このアプリを実現させたいというモチベーションは誰よりも強いはず。新しい技術を学ぶには強い気持ちが重要ですから、ぜひ皆さんには開発にも挑戦して欲しいと期待しています。
プログラミングの経験に関わらず、課題解決のためのアイデア形成からコミュニティに参加できるというのは、多くの中高生にチャンスが開かれていて、貴重な機会を提供してくれるコミュニティです。アプリ開発にチャレンジしてみたい中高生は、ぜひSwift Coding Club JPの活動に今後も注目してみてください!
狩野 さやか
Studio947のデザイナー・ライター。デザイン・ウェブ制作全般を担当する一方、技術書籍の執筆や、教育のICT活用・子ども向けプログラミングについての取材・執筆をしている。著書に『ひらめき!プログラミングワールド』『見た目にこだわるJimdo入門』『ふたりは同時に親になる 産後の「ずれ」の処方箋』。
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